日本の畜産が危機的状況に。
口蹄疫:「自衛しかない」 最大の畜産地・都城、悲嘆
感染拡大もようやく収まるのかと思っていた矢先に--。日本有数の畜産地、宮崎県都城市にも9日、拡大した口蹄疫(こうていえき)疑い。市は発生覚知から約2時間後に現地対策本部を設置。埋却地や獣医師の確保、さらには発生農家周辺の道路封鎖、消毒などの作業を迅速にこなした。一方、地元や県境を越えた鹿児島県の畜産農家からは驚きと「自衛するしかない」など悲嘆の声が聞かれた。【小原擁、木元六男、新開良一】
現場に近い都城市高崎総合支所。10日午前5時20分過ぎ、埋却作業に向かう白い防護服姿の職員100人を前に、長峯誠市長は「市内で口蹄疫が発生したことは残念。畜産王国のプライドにかけて封じ込める」と激励した。ワクチン接種については「するつもりはない。えびの市のように接種をせずに封じ込めたい」と述べた。
市によると、殺処分は10日午前2時40分に終了。農家敷地に隣接する畑での埋却作業が進んでいる。
一方、同日午前6時過ぎ、殺処分などの作業を終えた市職員らがバスで支所へ帰ってきた。市職員の関孝さん(55)は畜舎の周りに青いシートを張り、消石灰などをまく作業を夜通し行った。関さんは「農場主の奥さんが泣き崩れている姿を見た時、とうとう自分の町にもとんでもないことが起きたんだということを実感した。とにかく早く封じ込めなければ」と話した。
JA都城の和牛生産部会長で、自らも約200頭を飼育する井ノ上廣實さん(71)は疑い例発生に息をのんだ。「ヘリで地域全体に消毒薬を散布するなど、思い切ったことを考えないといけない。金の問題ではない」と訴えた。
都城市に隣接し、半径20キロの搬出制限区域に入る三股町で280頭の和牛を肥育する福永広文さん(58)も「えびの市の終息で一段落したと思っていた。まさか、という思いだ」。希釈酢による牛舎の全面消毒を2回に増やした。「それぞれが自分の牛舎を防衛するしかない」
一方、県境を挟んだ鹿児島県曽於(そお)市にも衝撃は広がった。市とJAは9日夜、幹線道路に設置する独自の消毒ポイントを2カ所増やした。全国一の子牛の取扱頭数(年間2万4000頭)を誇る曽於中央家畜市場は、4月下旬から競りは延期されたまま。外園孝男・肉用牛課長(52)は10日、「終息に向けかすかに先が見え出している時期に都城で発生しショックだ。農家からの不安の声も多く寄せられているが感染を避けるため巡回はできず電話しかできない」と厳しい表情で話した。
毎日新聞 2010年6月10日11時53分
そして口だけ首相は
都城の口蹄疫で菅首相「一丸で対処」 対策本部緊急招集
家畜伝染病の口蹄疫(こうていえき)被害が宮崎県都城市に拡大したことを受け、菅直人首相は10日午前、首相官邸で閣僚で構成する口蹄疫対策本部の会合を緊急開催した。首相は「危険な意味での節目だ。迅速な初動対応が何より重要。緊張感を持って一丸となって対応していきたい」と述べ、菅内閣として被害拡大の防止に全力を挙げる方針を確認した。
対策本部の会合後、記者会見した古川元久官房副長官によると、会合では山田正彦農林水産相が現状を報告。発生農場周辺の高速道路や国道に消毒ポイントを設け、今のところ新たに感染が疑われる例は確認されていないという。自衛隊や関係省庁からの現地派遣を増やすことや、菅首相や山田農水相の現地訪問についても検討する。
同日の対策本部は9日の開催に続き4回目。宮崎県で4月に口蹄疫の発生が確認された際には、初動対応の遅れが批判された。
2010年6月10日11時28分 朝日新聞
この緊急事態に
会期延長は不要=民主・輿石氏
民主党の輿石東参院議員会長は10日午後の記者会見で、郵政改革法案について「2週間ぐらいの会期延長ではどんなことをしても成立しない。次の臨時国会でやるのが順序だ」と述べ、会期延長は不要との考えを強調した。
(2010/06/10-14:52)時事通信
結局、“「危険な意味での節目だ。迅速な初動対応が何より重要。緊張感を持って一丸となって対応していきたい」”なんて口だけです。会期延長論も口蹄疫対応についての議論など微塵もなく、郵政改悪法案成立か否かの選挙対策でしかありません。
このまま国会が16日に閉会し、次の臨時国会まで国会審議がストップすれば、新たな予算の執行ができなくなってしまいます。そして、新たな予算の執行が出来なければ、拡大に合わせた対応も出来ない事は言うまでもありません。
赤松大臣の1週間の外遊で、完全に政府対応が止まった4月29日~5月10日までの間に、2000頭あまりだった患畜数は60000頭超と爆発的に増えました。
そして今回、未だに口蹄疫が拡大中にも関わらず、対策もそこそこに国会を16日に閉会して1ヶ月あまり選挙に追われる事になれば、日本最大の畜産地帯に飛び火した口蹄疫被害がどれだけ広がるのか想像もつきません。
現場の“「自衛するしかない」”という悲痛な叫びを聞いても分かるように、今までの鳩山内閣の対策はけして万全とはいえません。
菅内閣は早速4回目の対策委員会を開催して“自衛隊や関係省庁からの現地派遣を増やす”事を決定し、自衛隊30名、警察官150名を増員することに決めたようです。
しかしながら、こんなものはただのジェスチャー、焼け石に水でしかありません。そして、政府対応でやれ獣医師を増員したという話はたまに聞くこともありますが、肝心のビルコンSについては、政府対応で確保したという話を今まで聞いたことがありません。もう既に口蹄疫発生から2ヶ月近く経過しているにも関わらずです。
“希釈酢による牛舎の全面消毒を2回に増やした”という現実を見ても分かるように、現場では口蹄疫ウィルスの消毒に絶大な効力を発揮するビルコンSが絶対的に不足しており、ほとんど気休めでしか無い“希釈酢”を撒くしか手がありません。
つまり、日本有数の畜産密集地帯である都城市に飛び火した口蹄疫の拡散防止は運任せ、天に祈るしか手がない状態なのです。こレの封じ込めに失敗し、口蹄疫が九州全域、更に日本全域に広がれば、日本から偶蹄類が姿を消すことになるでしょう。
都城市で6月10日に口蹄疫発生が確認されたということは、潜伏期間の終わる6~10日後に一気に拡大する可能性があります。そしてこれに通常国会の会期を当てはめれば、丁度会期終了前後と重なります。
かつて、菅内閣と同じような状況で誕生した麻生内閣は、同じように支持率をV字回復しながらも、リーマン・ショックによる世界同時不況の景気対策を優先して解散時期を逸し、結果、補正予算成立後の解散総選挙で自民党の記録的惨敗を招いてしまいました。
そして今、菅内閣は同じような状況に置かれながらも、選挙を優先するために全てを犠牲にしようとしています。これのどこに“国民の生活が第一”という理念が存在するのでしょうか。
最近発表された菅内閣の支持率を見る限り、鳩山内閣のあの悪夢のような8ヶ月半で有権者は民主党の公約は嘘ばかり、全て口からでまかせと学習したものとばかり思っていましたが、現実は違うようです。
そしてそれは、これからの3年で心底思い知ることになるでしょう。まだ極左による独裁政治は始まったばかりなのですから。
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