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2009年11月 7日 (土)

本当に凄い日本の製造業(完全版)

ボーイングの「ドリームリフター」が中部国際空港に来たらしい。

世界に3機 ボーイングの「イルカ」機がすれ違い

 米国ボーイング社が開発中の次世代旅客機B787の胴体や翼を輸送するための特殊大型貨物機「ドリームリフター」(747LCF)が29日、愛知県常滑市の中部空港で2機そろった。イルカ似の機体による珍しいツーショットが見られた。

 LCFは、名古屋近郊の工場で製造された巨大部品を空輸するため、ボ社がジャンボ機の胴体を縦にふくらませて改造した貨物機で、世界に3機しかない。積み込みの際は、機体後部がL字形(直角)に折れるように開閉し、米シアトルのボ社組み立て工場との間を往復している。

 空港会社によると、同空港に2機が駐機するのは07年の初飛来以降、2回目という。

2009年10月30日8時7分 朝日新聞

 この“名古屋近郊の工場で製造された巨大部品とは、三菱重工の名古屋航空宇宙システム製作所や川崎重工、富士重工で製造した、ボーイング社の次世代旅客機B787「ドリームライナー」の主要部品を指します。

 そして“ボ社がジャンボ機の胴体を縦にふくらませて改造した貨物機”「ドリームリフター」とは、この名古屋航空宇宙システム製作所や川崎重工、富士重工の各工場において、日本の最先端技術により※CFRP(炭素繊維強化プラスチック)で一体加工された主翼や前部胴体、中央主翼を、ボーイング社の組み立て工場があるシアトルまで運ぶ為に作られた特別機なのです。だから、中部国際空港に「ドリームリフター」が頻繁に来るのは当たり前なわけで。

※CFRP(炭素繊維強化プラスチック) 

 炭素で作った強くて軽い繊維を樹脂で固めた比較的低コストで材料が入手できる複合素材。その製造方法は炭素繊維に溶かした樹脂をまぶして半乾きにした“プリプレグ”という半硬化のシート状の材料を30~100枚重ね、オートクレーブ(加圧炉)で120~180℃まで加熱し、4~6気圧の圧力で成形します。

 B787のCFRPは継ぎ目無しの一体加工のため、前部胴体を製造する川崎重工のオートクレーブは内径が8m、長さが17mで世界最大級、炉の蓋の重量だけでも約120tある超大型炉となっています。

※ちなみに材料となる炭素繊維は東レが提供。

主翼を「ドリームリフター」に積み込むの図 三菱重工HPより

P_0706_02_1 この主要部品は伊勢湾岸に点在する名古屋航空宇宙システム製作所や川崎重工、富士重工の各工場で製造され、名古屋港や四日市港、衣浦港から台船に載せられて常滑沖にある中部国際空港に運ばれた後、「ドリームリフター」によって米国に空輸されます。

 B787は別名「ドリームライナー」と呼ばれる文字通りの「夢の旅客機」です。このB787は機体に従来のアルミ等に変えてCFRPを約50%使用して軽量化することで、現在の最新鋭B777より約20%、B747ジャンボ機と比べれば約60%もの燃費を向上させることに成功しています。それによって航続距離をジャンボ機並みの約15700キロまで伸ばし、今までジャンボ機でしかいけなかった世界の主要都市と日本を低コストの中型機で結ぶことが出来るようになります。また滑走距離も1100mとなり、2500mを必要とするジャンボ機の半分以下と、どの空港でも非常に運用しやすい機体となっています。

 さらに、機体に非金属であるCFRPを多用することにより耐腐食性能が向上し、従来はコックピットのみのオプション装備だった加湿器がキャビンにも標準搭載可能となり、従来の2倍の湿度が確保できるようになりました。更にトイレや客室はローンチカスタマーの全日空の意見を取り入れた非常に使い勝手が良い造りとなっており、従来の機体よりも居住性が格段に向上しています。

 この最先端「夢の旅客機」の主翼や機体の主要部品の35%(ボーイングと同程度)を日本メーカーが製造しています。ちょっと下の図は見難いですが、三菱重工(主翼)、川崎重工(前部胴体・主翼固定後縁・主脚格納部)、富士重工(中央主翼)となっています。つまり、航空機製造技術においても、日本が最先端を走っているわけです。そして日本が作る製品は何故かエコ。凄いですね。(ちなみに韓国メーカーも参加してますが、下図の通り主翼の先っぽだけです。1%くらいですかね。)まぁ、最新鋭らしいいろいろなトラブルで遅延はしてますが、それはご愛嬌って事で。

B787での日本企業製造部位の図 ※ちょっと見にくいですが、ブルーと濃いブルー、薄紫が日本の担当部位です。

104664boeing_787_dreamliner_3

 日本からはこのプロジェクトに三菱重工(主翼)、川崎重工(前部胴体・主翼固定後縁・主脚格納部)、富士重工(中央主翼)が参加してます。そして、このプロジェクトに関係する工場は全て伊勢湾岸に集中しています。

 これは、伊勢湾がスーパー中枢港湾に指定されたことと密接な関係があります。

 スーパー中枢港湾とはスーパー中枢港湾 wikiより

 細分化され、個別管理されているコンテナターミナルを民間事業者が一体的に運用することによって、国内主要港(5大港)の国際競争力を高めることが目的である。具体的には、管理棟や自動化・IT化された荷役機械を有する、水深15m以深の大水深岸壁をふくむ連続3バース以上(総延長1000m以上)、奥行き500m以上の規模からなる特定国際コンテナ埠頭(次世代高規格コンテナターミナル)を形成し、港湾コストを現状より3割低減、ターミナル内リードタイムを現状の3-4日から1日程度に短縮させることを目標にしている。

 というものです。この構想に従って伊勢湾周辺では官民一体となった港湾整備が行われ、2005年12月15日、名古屋港に水深16m、延長400mの大水深岸壁と22列積みコンテナ船対応のガントリークレーンをもつ飛鳥埠頭南側コンテナターミナルが完成し、翌1月29日には四日市港に水深14m、延長330mの大水深岸壁と17列積みコンテナ積みコンテナ船対応のガントリークレーンをもつ霞ヶ浦北コンテナターミナルが完成しました。

 そして更に、中部国際空港にB787専用の部品輸送経路を整備し、スーパー中枢港湾との連携を密接することによって、伊勢湾の各港湾と中部国際空港との“Sea&Air輸送”を可能にしたのです。

 これによってB787の主翼や前部胴体のような巨大部品のスムーズな輸送が可能となり、輸送期間を大幅に短縮することで、伊勢湾周辺の民間企業はコストダウンと国際的な競争力を得ることが出来ました。この“Sea&Air輸送”によって、B787の主翼は三菱重工の名古屋航空宇宙システム工場を出てからシアトルまで、従来ならば20日程度かかっていたものが僅か2日程度で輸送することが可能となったのです。

 このように政府が主導し、官民一体となってインフラ整備を進めることによって地域の利便性が向上し、2006年に川崎重工が弥富市にB787専用工場を建設する等、港湾全体に民間企業の積極的な設備投資が行われることによって、伊勢湾岸一帯を航空産業の一大集積地に成長させる要因となったわけです。

 政府によるインフラの整備はスーパー中枢港湾に留まらず、その周辺の名四国道の拡張・整備や伊勢湾岸道路の建設、中部国際空港の開港等、伊勢湾岸の陸海空すべてと連動して行われてきました。名古屋とその近隣在住の方なら実感していると思いますが、ここ10数年で伊勢湾岸周辺の交通の便は格段によくなっています。特に万年渋滞道路であった名四国道は立体化と4車線化(一部6車線化)によって三河地区から港区にかけての渋滞がほとんど解消されました。また、伊勢湾岸道路の開通で三河地区から名阪国道に至るまでの移動時間が大幅に短縮され、更に、大高、名古屋南の各JCの建設と連結によって名四国道、伊勢湾岸道路、知多半島道路、名古屋高速の直接相互乗り入れが可能となり、ETCさえあれば、中部国際空港へのアクセスもどこからでもノンストップで短時間に行けるようになりました。

 そしてそれが、伊勢湾岸地域の製造業の発展を側面から支え、主な積出港である名古屋港の輸出額が全国一位となっている主要要因であることは疑いのないことです。

 さて、民主党は前原国交大臣の下、選択と集中を合言葉に、羽田のハブ化とハブ港湾の選定(つまりはその他地域の切捨て)、八ツ田ダムの建設中止や高速道路の建設凍結などの公共事業の抑制を闇雲に行っています。無駄遣いの撲滅と赤字国債発行の抑制といえば聞こえは良いですが、その目的といえば、民主党の荒唐無稽な子供手当てや高速無料化、農家への戸別所得保障等、バラマキ政策の為の形振り構わない予算確保でしかありません。

 そこには国家の成長戦略など微塵もありません。そして目先の選挙に囚われるだけの政治主導に10年来のインフラ整備を一貫してやり遂げる長期戦略もない。

 菅副総理が経済官僚の“「1兆円が半分貯金に回れば5000億円の効果、2兆円使えば2兆円の効果」”という発言に対して、“大バカ”と発言したことは記憶に新しいですが、経済官僚としては、長期的なインフラ整備の重要性を全く理解せずに、すべてを中断して子供手当てなど愚にもつかない選挙対策のバラマキ政策に当てようとする民主党の方が“大バカ”だと思っていることでしょう。

 いくら公共事業を抑制して赤字国債の発行を抑えたところで、そこに国家の成長戦略がなければなんともなりません。赤字国債発行はいわば国家による未来への設備投資です。いくら赤字国債を発行しようがそれによって長期的な成長が維持され、将来にわたって安定した税収増が見込めるならば、財務的に健全さを維持していくことは可能です。

 しかしながら、ただ単に公共事業を抑制して成長への設備投資をやめ、長期的な成長がまったく望めなくなってしまえば、一時的に赤字国債の残高は減ったとしても同時に税収も減り続け、将来にわたって財務的な健全さを維持していくことは不可能です。ましてや民主党のように公共事業を抑制して未来への設備投資をやめ、選挙対策のバラマキ政策のために更に赤字国債を発行するような事をしていては、近い将来、必ず日本は破産してしまいます。

 借金借金とはいいますが、返せるあてがあるならいくらあっても良いのです。無駄遣い無駄遣いともいいますが、それ以上の成長が望めるのなら無駄ではない。一番駄目なのは、借金ばっかりが増えて将来の成長が望めないことです。

 民主党のやっていることはつまりそれ。一番駄目な大バカ集団ですね。こんな大バカ集団がただの官僚無視を政治主導と呼ぶとは笑わせます。

 もちろん、無駄遣いせずに効率的な成長が維持できればそれに越したことはありません。しかし残念ながら、いつの時代も何処の世界にも完璧な政治家など存在したためしがありません。結局、二大政党制の本質が二者択一にあるならば、どちらかマシなほうを選ぶしかないのでございます。

 私はそれが自民党だと思っています。もちろん、構造改革も支持します。時にやり過ぎて失敗することがあっても、その匙加減をするのが政治家の役目ではないでしょうか。今は身内でもめているようですが、早く方針をまとめて立ち直ってほしいですね。

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参考サイト

第三回伊勢湾スーパー中枢港湾連絡推進協議会 報告事項

伊勢湾スーパー中枢港湾連絡推進協議会

三菱重工HP

川崎重工HP

スーパー中枢港湾wiki

名古屋港wiki

JAXA 人に優しい旅客機を目指して

 

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コメント

農水省のバラマキ政策「所得補償制度」に関する農水省HPの意見集約が11月10日正午までとなっています。
↓↓
https://www.contact.maff.go.jp/maff/form/e316.html
この政策を進めると、日本の農業は弱体化し、専業より第2種兼業が主流となり、自給率はさらに低下する懸念が大です。
 農業に関心ある方(あまり知らない方でも結構)、ご意見を!

投稿: レイ | 2009年11月 8日 (日) 01時22分

次世代旅客機B787への日本企業の協力は、インフラ整備という公共事業と連携して実現したものだったんですね。
公共事業が地域経済に投資額以上の経済効果を生み出すよい例だと思いました。

文中に出てくる伊勢湾岸道路は、第二東名の一部ですが先行整備され、東京~京都を結ぶ近道になりました。その為、東名と交差する豊田ジャンクション付近で渋滞が激しくなっています。
愛知県住民としては、豊田以東の第二東名の開通が待ちどおしいです。

投稿: ちょっと言わせてー | 2009年11月 8日 (日) 07時03分

東名高速って交通量が多いせいか、定期的に集中工事があってもう限界ですよね。ディズニーランド行った帰りに集中工事で帰宅時間が午前3時を回ったのは良い思い出です。
41号(空港線)も工事中は何やってんだって感じでしたが、楠から名古屋高速が延長して小牧JCで名神と直結したときは感動しましたねぇ。

投稿: takayuu@管理人 | 2009年11月 9日 (月) 10時43分

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