また判断か。
またこのパターンか。
自衛隊イラク派遣の差し止めや派遣の違憲確認などを求めて全国の市民3千人以上が提訴した集団訴訟の控訴審判決が17日に名古屋高裁であった。青山邦夫裁判長は原告の請求を退けた一審・名古屋地裁判決を支持、控訴は棄却したが、「現在の航空自衛隊のイラクでの活動は日本国憲法9条1項に違反している」との判断を示した。全国で起こされたイラク派遣をめぐる訴訟で、一、二審を通じて違憲判断が示されたのは初めて。
判決は、首都バグダッドで米軍と武装勢力との間で激しい紛争が起き、一般市民に多数の犠牲者が出ていることを指摘。「イラク特別措置法にいう『戦闘地域』に該当する」と認定し、空自のイラクでの活動は武力行使を禁じたイラク特措法に違反し、憲法9条に違反する活動を含んでいると結論づけた。
裁判は04年2月に最初の提訴があり、7次にわたって3237人が原告として名を連ねた。名古屋地裁は06年4月、派遣差し止めを却下、慰謝料請求を棄却、憲法判断を避ける判決を言い渡していた。
控訴審には1122人の原告が参加した。審理の中ではイラクの現状を記録したDVDを見たり、原告側が申請した証人2人が陳述するなどして、裁判官側も原告の主張に耳を傾ける姿勢を示した。
イラク派遣差し止めをめぐっては、北海道、仙台、栃木、東京、静岡、京都、大阪、岡山、熊本で各地裁に市民が提訴したが、これまで原告敗訴の判決が出ている。
2008年04月17日14時17分 朝日新聞
まぁ、名古屋地裁の判決を支持して“派遣差し止めを却下、慰謝料請求を棄却”したのであれば、“憲法判断を避ける”のは当然の措置だと思いますが、何故、名古屋高裁の青山邦夫裁判長は、違憲判断をしたのでしょうかね。
ウィキペディアによると、この憲法判断についてのルールはブランダイス・ルールと呼ばれ、以下の通り7準則が存在します。
第1準則
裁判所は、友誼的・非対決的な訴訟手続きにおいては合憲性の判断をしない
第2準則
裁判所は、憲法問題を決定する必要が生ずる前に前もって取り上げることをしない。
第3準則
裁判所は、憲法原則を、それが適用さるべき明確な事実が要求する範囲を越えて定式化しない。
第4原則
裁判所は、憲法問題が記録によって適切に提出されているとしても、その事件を処理することが出来る他の理由がある場合には憲法問題について判断しない。
第5原則
裁判所は法律の施行によって侵害を受けたことを立証しないものの申し立てに基づいて、その法律の効力について判断することをしない。
第6準則
裁判所は法律の利益を利用した者の依頼で、その法律の合憲性について判断するようなことはしない。
第7準則
裁判所は、法律の合憲性について重大な疑いが提起されたとしても、その問題を回避できるような法律解釈が可能であるか否かをまず確認すべきである。
そして、もし、違憲判決がなされた場合においても、この違憲判決の効力はあくまでも当該事件にしか及ばないと解されています。
つまり、この青山裁判長の“違憲判断”は、明らかに第4・第5準則に違反している上に、肝心の当該裁判は自らの判決によって棄却されたわけですから、及ぼす対象の無い独り言に過ぎません。
おまけに、裁判自体は国が勝訴しているわけですから、国がこの“違憲判断”を不服とした場合にも、それについて争う為の裁判を継続することが出来ません。いつもながらの卑怯なやり方ですね。
原告は“画期的判決”(実は判断に過ぎないのですが…)だとして大喜びしたそうです。しかしながら、20~30年前ならいざ知らず、誰もが自衛隊の必要性を認めている現在、今更、違憲判断が出たところで一体、何の意味があるのでしょうか。
原告らはこれを“「9条は生きている」”(朝日新聞。なぜか見出しが判断⇒判決に置き換わってます。いつものことですが。)とも表現したそうですが、はっきり言って、この程度のことで自衛隊の存在が否定されるような第9条ならば、いっそそれを改正するべきだいう問題意識を持った人間を増やすだけだと思うのは私だけでしょうか。
私には今回の判断が“9条への死刑判決”に思えて仕方ありません。
そんでもって、こういう人たちに限って、いわゆる“護憲主義者”だというんですから訳が分りませんね。彼らは、違憲を告発しながら、肝心の憲法については絶対に変えないと主張する事の矛盾について一度でも考えたことがあるのでしょうか。
さて、ここまで考えて、朝日のサイトで勝訴で浮かれる原告を見た時に、猛烈に嫌な気分に襲われた理由をやっと理解できました。
そりゃそうですわな、誰でも、こんなに周囲を巻き込んだ壮大な自慰行為を見せ付けられれば嫌な気分になりますがな。
もう、いい加減にしろって感じですね。
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コメント
>ゴーリキー様
>>私には今回の判断が“9条への死刑判決”に思えて仕方ありません。
同意です、裁判は国側勝訴に終わっているのですし、「米兵を輸送した事は違憲の可能性が有る」と述べただけで「自衛隊派遣が違憲」とは取れないのは、当たり前です。
戦争をやっている現地周辺に、何らかの支援行為をしに行けば、運用上違憲行為も発生する可能性があるのは自明の理です、派遣が行政府の独断で行われたワケでもないのですから、逆に9条の存在が手枷足枷になっていると言う現実を際立たせたダケではないかと。
そう言う意味で違憲と言うのなら判ります、9条自体効力が無くなて居るかの様に書いている朝日新聞は、判決を斜め読みしたのではないか(嗤)。
投稿: ナポレオン・ソロ | 2008年4月18日 (金) 06時42分
夕方のテレビニュースは、全国も地方も此れをトップにして、さも自衛隊の派遣は違憲だとの憲法判断が出たような、報道をしていました。中にはまだ最高裁が有りますからと、頓珍漢なコメントをする横にいる人も居ました。
こうしてマインドコントロールされていくのでしょうね。
投稿: 八目山人 | 2008年4月18日 (金) 13時41分
京都新聞でも「憲法九条持つ国に誇り」などと大きな見出しをつけ大喜びするご婦人の顔を掲載しています。「涙ぐみ抱き合う」「歴史的な判決」・・・などとでかでかと・・・まるで原告団の勝訴かと
見紛うばかりの記事です。
偏向した新聞ばかり見ている人の頭の中がどうなってしまうのか心配です。
投稿: 翡翠 | 2008年4月18日 (金) 17時59分
主権自民を守るために憲法で三権分立が決められているとすると、司法権の乱用だと感じています。
裁判官により判決の変わる一高裁の判断で、国民による選挙という洗礼を受けた立法府の議決や行政府の判断を覆せるとすると、憲法の精神をも逸脱した判決では?
TBを送らせていただきます。
投稿: 山本大成 | 2008年4月19日 (土) 16時09分
国防なんて日本には不要座談会←日本を滅ぼしたいんですか?
http://jp.youtube.com/watch?v=pBra6bd_xfQ
辛淑玉:1959年1月16日、東京都渋谷区生まれの在日韓国・朝鮮人3世の女性で、自ら設立した人材育成コンサルタント会社・香科舎(こうがしゃ)の代表。
松崎菊也:1953年3月9日、別府市生まれの戯作者で、数多くの風刺コントの作・演出を手がけ、コメディアンとしても大物政治家を演じる。
永六輔:江戸時代に渡来した中国の学僧を先祖に持つ、1933年4月10日、東京生れの元放送作家で、タレント、作詞家、エッセイスト。
中山千夏:1948年7月13日、熊本生まれの作家で、元俳優、テレビタレント、歌手、声優だが、70年代に女性解放運動(ウーマン・リブ)に参画した後、反差別・反戦などの市民運動に取り組み、その後一期だけ参議院議員を努めた。
石坂啓:1956年3月28日、愛知県名古屋市生まれの女性漫画家、作家、フェミニストだが、華僑を母に持ち、幼少時の差別や疎外感から反権威・反権力的な性向を持つようになる。
いやあ、凄いこと言ってるなあ。
例えば『殺されても、相手を殺すな』とか。
これ、国防に関してのことですよ。
『戦争を仕掛けられても抵抗するな』ってことは分かりやすく言えば、日本の男は家族を守るな、愛する者のために戦うなって言ってるわけです、これ。
もし世界が100人の村だったら風に言えば、『極悪非道な奴らが、我が家に押し入って来ても、何もせずに愛する家族と共におとなしく殺されていなさい』って言ってるわけだ。
この左翼思想の人たちは、己の論理矛盾に目をつむって発言しているのか?
そうとしか思えないが?
憲法9条どおりに無抵抗でいれば、反日思想の外国人は、日本人をナイフで刺すことも絶対にしないし、銃で撃ってくることもないし、日本の街々に照準を定めている核ミサイルのボタンを押すことなんて、この先の世界情勢がどう変わろうとも、絶対にありませんと、本当に信じて言っているのだろうか。
それにしては、こんな深刻な議題なのに、この人たちはヘラヘラ、ニヤニヤしながら話していて気持ち悪過ぎなのだが。
この動画、よく削除されるそうなので、出来ましたらお早めにご覧下さい。
投稿: 名無し | 2008年4月21日 (月) 01時53分