ソマリア沖=海上阻止活動地域
どうしてこっちは報道されるのに、
クアラルンプールにある国際海事局(IMB)海賊情報センターに30日入った連絡によると、アフリカ東部のソマリアの首都モガディシオ沖合で29日午後、北朝鮮の貨物船(乗組員43人)が武装グループに乗っ取られた。周辺に展開する米海軍などが救出作戦を実施し、30日午後、貨物船を奪回したが、複数の負傷者が出た模様だ。
貨物船はモガディシオ港で砂糖を降ろした後、沖合に停泊中に警備員を装った武装グループに乗っ取られたという。身代金を要求しているとの情報もあり、IMBは海賊事件とみて、北朝鮮政府や周辺の米海軍などの協力を得て「大規模な救出作戦」(IMB当局者)を展開していた。
2007年10月31日01時12分 朝日新聞
こっちは報道しないのかね。
ワシントン(CNN) パナマ船籍で日本の海運会社が管理するケミカルタンカー「ゴールデン・ノリ」(6253トン)がソマリア沖で海賊に乗っ取られた事件で、米軍の誘導ミサイル駆逐艦アーレイバークがソマリア領海に入り、タンカーを追跡している。米軍関係者が明らかにした。
複数の関係者によると、ソマリア領海に入る際には、首都モガディシオを拠点とする同国暫定政権の許可を取得した。米艦船はここ数年、海賊追跡の際には領海の外側にとどまっていた。
タンカーは28日に救難信号を出した。アーレイバークが追跡を開始する前、同型の駆逐艦ポーターがタンカー後部につながれていた海賊の小型船2隻を砲撃して沈めた。タンカーに引火性の高いベンゼンが積まれていたかは不明。
2007.10.30 CNN
朝日ではこれっきり続報もなし。
クアラルンプールにある国際海事局海賊情報センターによると、28日午前11時16分(日本時間)ごろ、アフリカ東部ソマリア沖を航行中だったパナマ船籍のケミカルタンカー(6253トン)から「海賊に乗っ取られた」との救難信号が入った。同センターによると、タンカーは日本企業の所有。乗組員の中に日本人はいないという。
周辺国などが追跡しているが、タンカーと連絡が取れない状態が続いている。タンカーは無政府状態にあるソマリア方面に向かっているという。
2007年10月29日18時49分 朝日新聞
“周辺国などが追跡”とは言い様ですが、“米軍の誘導ミサイル駆逐艦アーレイバークがソマリア領海に入り、タンカーを追跡”が正しいようです。朝日を始め、日本の報道機関は正確に報道する気がまったく無いようです。
北朝鮮貨物船乗っ取りと比較して、日本企業所有のタンカー乗っ取りの扱いが明らかに小さい。
それも“駆逐艦ポーターがタンカー後部につながれていた海賊の小型船2隻を砲撃して沈め”、“米艦船はここ数年、海賊追跡の際には領海の外側にとどまっていた”が、暫定政権の許可を取り、ソマリア領海内まで追跡中にも係らずだ。それも今話題の給油活動と密接に関係するとなればなおさらです。
ソマリアは東北端に位置し、「アフリカの角」と呼ばれています。国土はインド洋に面しており、海上自衛隊の給油活動地域との関係はこのようになっています。
2007年9月6日(木)「しんぶん赤旗」 ソマリア攻撃加担かより
2007年9月6日付けの「しんぶん赤旗」によれば、米軍による1月7日のソマリア空爆を“「対テロ」を口実にした米軍の一方的な対ソマリア攻撃に対しては国際社会から強い非難の声が上がり、米議会でも攻撃の根拠をめぐって議論になりました。”とし、海自による給油活動を戦争支援と非難しています。
しかしながら、このように海賊事件が頻発し、海上交通が著しく危険に晒されている状況を見れば、この“攻撃の根拠”が明確に存在することは間違いなく、現場海域に展開する“CTF150”とよばれる米国主導の多国籍任務部隊の重要性についても疑う余地はありません。地図を見れば解りますが、ソマリア沖を通らなければ船舶はスエズ運河を経て紅海からインド洋に出ることが出来ないという重要航路だ。
そして今回の事件を見ても、インド洋は非常に危険が多い海域であり、この海域の治安を実質的に維持しているのはここに展開する米海軍を中心とした多国籍軍であることが良くわかります。もしも今、多国籍軍が撤退すれば、日本の石油輸送は事実上ストップせざるを得ない。
海上自衛隊の給油活動とは、その多国籍軍がインド洋に効果的に展開する為に絶対必要なものであり、それを実現する為の特殊な給油艦を米国を除けば世界一の保有数を誇る日本にしか出来ない国際貢献なのです。
それにしても朝日の報道姿勢にはひっかかるものがありますね。
北朝鮮の事件を取り上げた事については、米朝の関係改善を強調する意図があることは明らかであり、また、日本のタンカーについて続報を報道しないのは、この海自の海上給油に対して朝日が反対であることに尽きる。
このような報道姿勢は日本のマスコミすべてに言える事だ。ざっと見た限り、今回の米駆逐艦による追跡を報道したのは時事通信のみであり、数ある報道機関の中で、この海域が多国籍軍の海上阻止活動と海自の給油活動地域に入っていることを報道したものは皆無だ。
しかもその時事通信についても、報道したカテゴリーが何故か“国際欄”ではなく“社会欄”であることを考慮すれば、日本にまともな報道局は無いと言っても良い。
かくして、日本は正しい情報が伝えられないままテロとの戦いの第一線から離脱し、マイナーリーグに転落した。
これで6年間の給油実績も水の泡と化し、国際社会の一員としての責任を果たしたといえるものは何も存在しなくなってしまった。
それも給油中断の理由が、極めて国内的な事情によるものであり、一政党の一代表が狙う2~3カ月先の政局の為となれば目も当てられない。
今後、日本のタンカーはインド洋を通るたびに活動中の艦船から白い目で見られることになるだろう。海賊の被害が増えることだけは覚悟した方が良い。
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