改革横取り法案
またパフォーマンスか。
民主党は9日、年金保険料を年金給付以外に使えないようにする「年金保険料流用禁止法案」を参院に提出した。法案では、年金事業の事務費や教育・広報費、コンピューターシステムの運用費などをすべて国費で負担する、としている。
ただ、今国会の会期は10日までで、郵政民営化凍結法案と合わせ、実質審議には入れず、いったん廃案になる見通しだ。参院民主党の福山哲郎政審会長は9日の記者会見で「廃案になっても(秋の臨時国会で)再提出をして成立を求める姿勢は変わらない」と述べた。
2007年08月09日18時40分 朝日新聞
“「年金保険料流用禁止法案」”と聞くと、グリーンピアだとか、ゴルフ練習場だとか、マッサージ器だとかへの年金資金の流用を防ぐ為の、年金を守る民主党らしいすばらしい法案だかなんだかに思っちゃいますが、記事に書いてある通り、“年金事業の事務費や教育・広報費、コンピューターシステムの運用費などをすべて国費で負担する”だけの法案です。それも国民新党に配慮して“郵政民営化凍結法案”も抱き合わせてくるあたりがいやはやなんとも…。
つまり、またいつもの“パフォーマンス”なのだ。
グリーンピアだとか、ゴルフ練習場だとか、マッサージ器だとかという問題は既に解決済みの事項です。
中でも巨額の負債を計上し、社会保険庁職員の天下り先の温床となっていた“年金福祉還元事業”(グリーンピア・年金福祉施設・年金住宅融資)について、政府は平成16年度に“年金積立金管理運用独立行政法人法”を成立させ、これを17年度に廃止、財政融資資金からの借入金を一括償還しました。
この年金財政からの繰上げ償還金等は実に4兆7566億円。
そして積立金の運用は独立した第三者機関で効率的に行う事とし、受託者責任を厳正に適用する為、資金運用業務に特化した”年金積立金管理運用独立行政法人”を2006年4月1日に設立、運用方針の検討や運用状態の監視を行っています。
そしてこの“年金積立金管理運用独立行政法人”が今期、積立金の運用で得た利益は2006年度で3兆7698億円。4年連続で単年度黒字を達成し、累計黒字額は10兆円を超えました。これは運用資産114兆5258億円の約10%であり、年間2~4%の黒字を確保している計算になります。
もともと政府は、「年金保険料は年金給付及び年金給付に関係する経費以外には充てない」という方針の下、平成17年度からは年金保険料を当てていた職員宿舎、公用車等の経費は国庫負担としています。
そしてその他にも以下の改革を次々と行いました。
(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より抜粋)
- (1) 職員宿舎の新設(建替)は、平成17年度は予算要求は行わず、既設宿舎の補修等を行った。
- (2) 長官の交際費は、職務関連性を一層厳しく確認の上使用する。
- (3) 公用車は、平成17年度は公用車の更新サイクルを見直し、42台分(106台→64台)の更新対象を削減。
- (4) 社会保険大学校のゴルフ練習場は、平成16年9月に廃止し、ゴルフボール、ゴルフクラブを売却。
- (5) 社会保険事務所のマッサージ機器は購入中止。
- (6) ミュージカルやプロ野球観戦などのレクリエーションは行わない。
- (7) 社会保険事務局等の賃借料については、平成17年度の契約更新に際し、近隣相場を参考としつつ、貸主と賃借料の価格交渉を行い、約5億円(対前年度比10.3%)減。
- (8) 厚生年金会館や厚生年金病院等の年金福祉施設等は、今後保険料を投入せず、独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構を2005年10月に設立し、地域医療への影響や老人ホームの入居者の生活等にも配慮しつつ、5年以内に廃止・売却する。
以上の改革を実施した上で、国の厳しい財政事情にかんがみ、事業運営に直接関わる社会保険庁と被保険者・受給者との間で行われる適用、徴収、給付に至る事務に係る経費を保険料負担としたのです。
そして最後に“社会保険庁改革関連法”を成立させ、数々の不祥事と大量の天下りで年金を食い物にしてきた自治労の牙城、社会保険庁を解体し、非公務員型の公法人「日本年金機構」へと移行。その過程において、保険料の徴収や年金相談など、現在の社保庁が行っている業務は可能な限り企業などへ外部委託することを決定したわけです。つまり、給付に至る事務に係る経費を“保険料負担”から“外部委託”することで、保険料負担を更に圧縮することを決定したわけです。
民主党の“「年金保険料流用禁止法案」”と言えば聞こえがいいが、結局は政府による改革の最後に残された、それも更に圧縮される予定のただ1項目について、保険料負担から国庫負担にせよといっているだけなのです。
本当にあんた達一体何がやりたいの?
私はこれを、“改革横取り法案”と名付ける事にします。
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参考サイト
年金改革 ←年金改革についての記事一覧です。読売新聞製
公的年金流用問題 フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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コメント
>本当にあんた達一体何がやりたいの?
ミンス党さんは、「国会ではネクタイ着用を!」
とクールビズに反対したそうです。
結局、この人達って、改革どころか復古調なんですよね(笑)
____________________
★「参院本会議ではネクタイ着用を」=クールビズに異論-議運委員長
西岡武夫参院議院運営委員長は9日午前の理事会で、
「次の国会からクールビズの申し合わせを廃棄し、本会議場、委員会室での議案審議に際してはネクタイ着用を義務化したい」と提案した。(以下省略)
(08/09-12:48 )http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2007080900432
投稿: お笑いお花畑 | 2007年8月10日 (金) 08時38分
参議院で民主党案に自民も乗っかりましょう。
乗っかるわけにはいかない? じゃ、棄権しましょう(笑)
如何にすばらしい法案か、国民に判断させましょう。
だって、圧倒的多数で支持した政党の法案ですもの。
これで国民にも自民党反省の態度表明、賢明な有権者には超優良法案(笑)
本当に通ったらどうする。
その時は衆議院で粛々と否決。
投稿: なんだかなぁ~ | 2007年8月10日 (金) 09時22分
郵政民営化反対はどうも国民新党の意見を取り入れたようですね
投稿: 京 | 2007年8月10日 (金) 22時19分
アジアの真実さんから来ました。私も「年金改革法案」という言葉に
コロッとだまされ「かけた」くちです。
朝日が一面で報じているので、何か裏があるとは
思っていたんですが、こーいうことだったのですね。
ゴーリキーさんのおかげでよくわかりました。
マスコミは、本来、ゴーリキーさんのような記事を
書かないといけないはずなのですが。
ワタシみたいに、だまされてる国民は多いんでしょうね。
投稿: ハットリ | 2007年8月11日 (土) 20時27分