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2007年1月14日 (日)

水づくり

世界的な水不足を救うのは日本の環境技術なのか。

「水づくり」世界で拡大、旭化成や東レなど環境技術生かす

 日本企業が海外で飲料・工業用水をつくり出す水資源事業を拡大する。旭化成は中国や米国で、東レは地中海沿岸地域で浄水場や海水の淡水化に使う水処理膜を相次ぎ受注。三菱商事などは水道事業への投資や運営を進める。人口増や工業化を背景に世界の水不足は深刻さが増しつつある。環境技術で蓄積がある日本企業には海外から引き合いが急増しており、水資源分野を成長市場と位置づけて開拓する。

 世界では11億人が水を十分に利用できていないとされ、中国や中東などでは工業用水の不足が経済成長の阻害要因となっている。民間調査会社の富士経済はプラントや超純水製造装置なども含めた世界の水資源関連市場は、2010年には05年より約1000億円増えて約5700億円になるとしている。

1/14 (07:00) 日経新聞

 地球環境の悪化を受けて、全世界的な水不足(淡水)が進行しています。特に乾燥地帯の過剰な地下水くみ上げによる水位の低位は深刻な問題となっており、イエメンの首都サヌアにいたっては、2010年までに帯水層が涸れると予測され、首都移転か海岸に立地する淡水化処理プラントから水を調達するかという決断に迫られています。

 日本国内の年間水資源使用量は890億㎥/年です。しかしながら、水問題を考える場合、日本国内で消費する食糧のほとんどを海外からの輸入に頼っている為、それを生産するために使用されている水資源の“仮想水”としての使用量も考慮に入れる必要があります。

 一般的に、穀物1トンを生産するには水1000トンが必要と言われています。精米後の米1kgを作るのには約8トン、小麦粉1kgには4トン以上の水が必要であると推定され、穀物を飼料として与える家畜にいたっては、肉類の重量比でさらにその数倍~10倍以上の水資源が必要であると算定されます。

 そしてこうした水消費原単位の推定に基づき算定された水を“仮想水”と呼び、その量は年間1035億㎥/年にも及んでいます。これは日本の水資源使用量の2倍強に当たり、その輸入相手は米国が約6割を占め、続いてオーストラリアが2.5割、中国が1.5割と続きます。

 つまり、日本の食糧の輸入がすべてストップした場合、すべてを国産で賄うには現在の2倍以上の水資源を開発しなければならないということです。日本の平均降水総量は6500億㎥/年あり、そこから蒸発散量を除いた平均水資源賦存量は4200億㎥であることを考えれば、その半分を有効利用しなければならないということになります。単純に考えて、現在の2倍の水利事業を行う必要があるということですが、それにかかる費用の莫大さと、深刻な環境破壊が引き起こされるであろうことは容易に推測できます。

 そしてもう一つ、全世界規模で地球温暖化が進行し、中東情勢が不安定な現在、石油の高騰によって、穀物からのエタノール燃料生産が増加傾向にあることも見逃せません。

 このエタノール燃料は主にトウモロコシから精製されることが多く、そのトウモロコシは従来、家畜用の飼料にまわされていたものが使われる傾向にあります。そしてトウモロコシの代替に小麦が使用されることが多く、それによって小麦の需要が増える傾向にあります。EUは2010年までに自動車が使うエネルギーの5.75%をバイオ燃料とする目標を立てており、フランスは7%、英国でも3.5%を目標としています。

 また、中国やインドの急激な経済成長に伴い、従来の穀物中心の食生活から、より穀物を消費する牛肉等の畜産加工物を好む食生活に変化しつつあります。全世界的に見れば、小麦の消費量は増加傾向にあり、その価格も上昇傾向にあります。

日本でも最近輸入小麦が変動価格制に移行しています。

輸入小麦、変動価格制に・パンやめんの小売価格に影響も

 農林水産省は輸入小麦で59年間続いた販売価格の固定制をやめ、変動制に移行する。これまで年1回だった価格変更を2007年4月からは相場に合わせて年2―3回に増やす。製粉会社が独自の価格で調達できる新方式も始める。小麦は旧食糧管理制度時代に始まった統制価格の発想が残っていたが、部分的に市場原理を導入することで、コメに続いて「普通の商品」への道を踏み出す。

 日本は国内需要の9割に当たる年間約500万トンの小麦を輸入に頼る。全量を政府が商社を通じて買い入れ、国産小麦よりやや高めの価格で製粉各社に販売している。標準銘柄の売り渡し価格は現在1トン4万5350円。買い付け価格の約2倍だ。差益は国内小麦農家への助成金に充てている。

2006 10/26 (16:01) 日経新聞

 記事を見てもわかるように、日本は国内需要の9割を輸入小麦に頼っています。それを買い付価格の2倍で売り、それを助成金として国内小麦農家への助成金に当てて残り1割の生産を行っているとすると、

まず小麦の国内販売価格の総額は、

500万トン×4万5350円=2267億5千万円であり、

さらにすべてを国内生産で賄おうと考えると、それに必要な助成金は

2667億5千万÷2=助成金×10割生産した場合=1兆1337億5千万円

 ということになります。

 このことから推察されることは、全世界的な水不足と安全保障の関係でバイオエタノールの生産を国家施策として行い、各国が小麦を戦略物資として輸出制限した場合、日本の小麦の価格が約5倍になるということです。つまり、300円で3個入りのうどんは1500円になり、150円の食パンは750円になって、国民生活を圧迫し、尚且つ年間1兆円以上の補助金が国庫から垂れ流されることになる。

 以上のことを考慮に入れれば、旭化成や東レの水資源事業の重要さと、そこに大きなビジネスチャンスがあることが良くわかります。世界の水不足を解消することは、めぐり巡って日本の食糧不足を解消することにつながるのです。

 その他、日本が持つさまざまな環境技術は、全世界の安定と発展に大きく貢献する可能性を秘めています。現在、米国においてトヨタが販売台数を順調に増やし、ビックスリーの一角を崩して第3位に食い込みました。これは、トヨタの生産方式が優れている以上に、プリウスをはじめとする日本独自の省エネ技術が米国に広く受け入れられた為です。

 もし、全米の自動車がプリウスなどのハイブリッド車に置き換えられた場合、ガソリン使用量は半分になります。その上で、さらに燃料電池の逐電量を増やし、風車などの風力発電を活用し、尚且つ深夜の夜間電力を使用して充電すればさらに節約できます。その上で、使用量の減ったガソリンをエタノールに代替すればさらにもっと節約できる。

 そしてガソリンの依存度が下がれば、高騰し続けている石油価格が下落して小麦と石油の交換比率が回復し、現在、見直しが迫られているイラク問題などの中東問題に石油を確保する為の多大な軍事費と米兵の命を注ぎ続ける必要が無くなります。つまり、米国は省エネによって、世界最大の小麦生産国として深刻化する食糧不足を背景に軍事力に頼ることなく中東に影響力を持ちつづけることが出来るようになるわけです。

 日本の国土は狭く、なんら重要な資源も持たず、生活の根幹をなす食糧生産についても、そのほとんどを輸入に頼って生きています。つまりは、世界によって生かされているわけですが、そこでなぜ日本が生かされているかと問えば、技術立国日本として世界に貢献しているからだと答えなければならない。

 日本は麻生外相が“「自由と繁栄の弧」をつくる”とその演説の中で述べている通り、戦後、日本は軍事力を持たずして“「経済的繁栄と民主主義を通じて、平和と幸福を」”を掴み取りました。そして世界第2位の経済大国に成長した日本は、自らの生存と安定、それに繁栄という、国益の三大目的を追求する為に、世界システムの安定に死活的な利害を託す、大国の一員としての責任を果たさなければならない。

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参考サイト

水不足は食糧不足に直結する ワールドウォッチ

サウジアラビアの対米価格支配力穀物と石油の交易条件の推移 ワールドウォッチ

世界の水資源とグローバルな気候変動 地球環境フロンティア研究センター

水の話 CON-PRONET

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コメント

毎日楽しく拝見させて頂いております。今回のエントリー圧巻です。技術立国としての日本の将来が示されたようです。天然資源に恵まれないわが国の貴重な資源は人材です。これらの世界最先端の技術を開発も優秀な人材やひたむきな努力があってこそできるもの。人材の育成。やはり教育の質の向上は喫緊の課題です。
資源の豊富な国であったなら紛争が絶えないでしょうが、技術や優秀な人材がこの国から生産されるとなれば、このこと自体が国防の要になるのではないでしょうか。
それを踏まえて日本の価値を世界に知らしめる外交を積極的に展開してもらいたいものです。つまり日本と組まない国は損をする、ということをもっとアピールすべきだと思います。

投稿: shudo | 2007年1月14日 (日) 18時48分

まさに『技術立国日本』の面目躍如ですね!
ただし、最近の子供たちの『理系離れ』は心配の種です。
かつては日本の子供の学力の水準は、国際的に見ても非常に高く、ことに数学は世界のトップクラスにあると言われた。
ところが現在では先進国中では低いランクに落ちこみ、とうとう韓国にまで抜かれてしまった。
そういう意味では、「ゆとり教育」とかいう美名に隠れて、日本人の愚民化を図る日教組の罪は重い。

投稿: アサピー嫌い | 2007年1月15日 (月) 08時20分

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