« 韓国人の識別法 | トップページ | 造反議員復党の功労者 »

2006年11月21日 (火)

日中関係好転の背景

日中関係好転の背景とは

日中関係:急速な「雪解け」の背景とは

 中国と日本の関係が「雪解けムード」を越え、早くも正常化しつつある。胡錦濤・中国国家主席は18日、ベトナム・ハノイで行われているアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議で日本の安倍晋三首相と会談し、来年日本を公式訪問することで合意した。中国国家主席の日本訪問は1998年の江沢民主席の訪日以来、9年ぶりだ。

◆外交主導権と経済的実利が「触媒」

 外交消息筋によると、「1カ月前の北京会談に続き、2回目の首脳会談は終始和気あいあいとしたムードで行われた。胡主席の来春訪日のため両国の実務担当者らはすでに具体的な協議に入っている」という。

 両国関係の急速な正常化は、両国の国益がピタリと合ったため、と見られている。2001年、小泉純一郎前首相の靖国神社参拝以降、両国関係は悪化、中国は経済的に少なからぬ打撃を受けた。表面的には「政冷経熱(政治的には関係が冷却しているが、経済交流は熱い)」といわれていたが、外交関係の悪化が経済的な利益損失につながっていた

 例えば、日本政府の対中国円借款は、2000年以降減り続けている。1993年から中国の対外貿易国第 1位だった日本の順位は、2004年にはアメリカ・EUに次ぐ3位にまで下がった。中国国内での反日デモの激化以来、日本の年間対中国直接投資(FDI)額は韓国より少なくなった。日本企業のベトナム・インド移転、先端技術の中国移転回避現象まで出てきた。

 日本から見れば、東アジアと世界の舞台での日本の地位の強化を図っている安倍首相の新外交路線が、対中関係改善の最大の原動力だ。安倍首相は9月の自民党総裁選で、「骨のある外交」を旗印に「戦略的アジア外交」を推進すると公言した。日本の国連安全保障理事国進出には、中国の協力が不可欠だ。

◆靖国神社、領有権など確執が「火種」

 こうしたムードを反映するかのように、「中国人民解放軍の章沁生・総参謀長(中将)が今月下旬、日本を訪問する」と時事通信が14日、報道した。中国軍将校の訪日は、2004年10月の熊光楷・副総参謀長以来だ。また、日中外相は16日、両国がそれぞれ10人の学者で委員会を作り、古代史や近現代史に関する共同研究を行うことで合意した。朝日新聞は「蜜月関係を築いてきた日米同盟は、ブッシュ政権の中間選失敗で下り坂となる一方、日中関係は明らかに回復局面に入っている」と指摘した。

 しかし、両国関係で最大の障害となっていた靖国神社参拝や台湾問題などでは、完全な見解の一致は成り立っていない。また両首脳は、東シナ海での領海争いについても、長期的な解決が必要だという原則的な認識で一致している。こうした理由で、両国間の和解ムードはいつ何時でも対立局面に変わり得る危険性をはらんでいる、との指摘もある。

香港=宋義達(ソン・ウィダル)特派員

2006/11/20 11:53 朝鮮日報/朝鮮日報JNS

 「政冷経熱」で損をするのはどちらかといえば中国の方です。実際、対中貿易高は第3位に後退しましたが対中赤字幅は減少し続け、黒字に転じてきています。これは韓国、台湾などの従来型の加工企業が挙って中国に生産施設を移転したのに対して、技術を持った日本企業は相次ぐ反日暴動によるリスクを回避するためにアジア地域に分散投資したり、技術保護のために重要部品は日本で生産するなどの国内回帰を進めています。

 そのことは中国の対日依存度を増大させ、逆に日本の対中依存度を減少させました。中国は加工貿易によって、日本からの中間財・資本財なしでは輸出が成り立たないほど依存していますが、日本は中国がダメなら他国に分散投資すればいいだけなのです。

 結局のところ、反日で大損をぶっこいたのは中国です。圧倒的に安い人件費によって大量の加工業の誘致には成功しましたが、相次ぐ反日暴動による政情不安と共産党一党独裁というリスクの高い政治形態は、日本企業の国内回帰を生み、肝心の日本が持つ中間財、資本財などの高付加価値産業の誘致に失敗してしまいました。

 中国を取り巻く環境も変わりつつあります。共産党特有の無計画な誘致計画は過剰設備と過剰生産を生み出し、特に鉄鋼に関しては国内消費量を遥かに上回る量が生産されることで深刻な原材料の高騰と鉄鋼貿易摩擦を生み出しています。また、それによって生じた先進各国との貿易摩擦の激化は「中国で生産したばかりに輸出できない」といった事象を生み出し、結果、先進各国の中国への投資を鈍らせることとなってきました。

 また、中国の中国共産党一党独裁という政治体系も大きなリスクとなっています。昨日までは右を向いていたものが明日には左を向いているといったことは日常茶飯事です。

 記憶の新しいところでは上海政府が、都市計画の変更を理由に日系企業10社を含む外資に立ち退きを迫っていることが上げられます。そこでは退職金の上積みを求めた従業員が現地責任者に暴行をはたらく事態にまで発展しましたが、現地責任者を上海政府が保護するようなことは一切無いばかりか、その誘致を担当した役人が追い出しに関わっているようではどうにもなりません。進出した企業も今頃、中国というリスクを見誤ったことを後悔していることでしょう。そして今後、似たような事例は中国各地で多発することは間違いないのです。

 そしてまた1つ想定外の負担を外資が迫られる事態が発生したようです。

中国、加工貿易の優遇縮小・奨励品目を一部除外

 【広州=菅原透】中国政府は従来の加工貿易振興策を軌道修正し、奨励品を一部削減する。原材料輸入や製品輸出に優遇税制を認めていた奨励品のうち、単純な組み立て作業の素材となるステンレス半製品や板材など804品目を22日から除外する。外資系工場に原材料の現地調達を促すと同時に、付加価値の低い製品への優遇を撤廃することで「組み立て型」から高付加価値型の産業構造へ転換する狙いだ。外資企業の中国戦略にも影響を与えそうだ。

 一部品目の優遇をやめるのは、輸出入にかかる税を減免する「保税措置」と呼ばれる制度。対象から除外される品目のうち、繊維廃棄物やステンレス半製品など77品には輸入関税を新たに課す。板材や鉛粉末など503品には輸出時に課税する。石炭、アスファルト、農薬類など224品は輸出入のいずれにも課税する。 

11/20 (16:11) 日経新聞

 またしても優遇措置で国内に積極的に誘致してきた企業のことなどまったく考慮に入れていない身勝手な政策です。誘致に成功すれば投資を人質に手の平返しで負担を求めることは中共の常套手段のようです。彼らは、外資が滞った一番の原因が自分たちのこういった態度にあることをきちんと認識しているのでしょうか。

 “脱中国シフト”は日本だけでなく、世界中に広まりつつあります。安倍首相も今回の手の平返しの態度の裏には、中共が計算高く日本の技術を利用し、自国の産業構造の転換にあてようという意図があることはとっくに気付いているはずです。

 そう考えると安倍首相が経団連に急遽代表団の同行を要請し、ハノイで開かれたAPECに財界人を引き連れて“トップセールス”を行なったのも、こういった中国の意思を見越した上でのことだと思われます。このことは、日本の“脱中国シフト”を強烈にアピールし、中共の更なる妥協を引き出すことになるでしょう。

 そしてこれが、安倍首相の掲げる“「骨のある外交」”であり“「戦略的アジア外交」”なのでしょう。

 靖国参拝問題や歴史問題はすでに“問題”ですらないのです。

応援クリックお願いします!⇒人気blogランキングへ

参考サイト

対中投資の減少をどうみるか NIKKEI NETアイ プロの視点

脱「中国シフト」」で国内回帰強める日本企業 NIKKEI NETアイ プロの視点

|

« 韓国人の識別法 | トップページ | 造反議員復党の功労者 »

中国」カテゴリの記事

朝鮮日報」カテゴリの記事

コメント

>安倍首相が経団連に急遽代表団の同行を要請し、ハノイで開かれたAPECに財界人を引き連れて“トップセールス”を行なったのも、こういった中国の意思を見越した上でのことだと思われます。このことは、日本の“脱中国シフト”を強烈にアピールし、中共の更なる妥協を引き出すことになるでしょう。

このことは初めて知りました。としたら安倍総理は表面の雰囲気のとは全く違った、なかなか骨のある、したたかな総理です。相手を油断させるいい顔ですね。

投稿: Jeo | 2006年11月21日 (火) 14時39分

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 日中関係好転の背景:

» 【過去】誤報・捏造・情報操作…メディアは本当に厄介です [ぼやきくっくり]
 くっくり@休業中です 先日お知らせしましたように、当分の間、過去記事UPでつないで行きます。 記事中のリンク先は既に消滅しているものもありますが、ご容赦下さい。 過去記事紹介の前に、突然ですが、2ち...... [続きを読む]

受信: 2006年11月22日 (水) 15時19分

« 韓国人の識別法 | トップページ | 造反議員復党の功労者 »