「戦後レジーム」からの脱却
安倍内閣支持率は依然として高水準のようです。
日本経済新聞社が27―29日に実施した世論調査で、安倍内閣の支持率は68%だった。政権発足直後の9月末の調査から3ポイント低下したが、高水準を保っている。不支持率は21%で4ポイントの上昇。核実験を実施した北朝鮮への経済制裁については「適切だ」が50%で最多。「さらに強めるべきだ」も36%にのぼり、評価する声が8割を超えた。「厳しすぎる」は5%だった。
安倍内閣の支持率は小泉前内閣の発足直後の8割前後には及ばないが、歴代政権では際立って高い。小泉前内閣の今年に入ってからの支持率は45―50%だった。支持率は自民支持層で89%に上り、民主支持層でも45%と不支持の48%とほぼ同水準。男性は70%、女性は67%の支持率だった。
支持する理由では「人柄が信頼できる」が50%でトップ。次いで「清潔である」と「自民党の内閣だから」がともに22%で並んだ。
10/29 (21:37) 日経新聞
その安倍首相が観艦式で訓示をしたそうです。
安倍晋三首相は29日、神奈川県沖の相模湾で開いた自衛隊観艦式に出席した。首相は護衛艦「くらま」の艦上で訓示し、北朝鮮の核実験について「国際社会の平和と安全に対する重大かつ深刻な脅威であり断じて容認できない」と強調。防衛庁の省昇格法案の早期成立にも意欲を示し「防衛庁を省に移行させ、国際平和協力活動を自衛隊の本来の任務とするなど必要な体制の整備を行う」と述べた。
首相はフランスの歴史家、アンドレ・モーロワ氏の著書「フランス敗れたり」を引用。第2次世界大戦でフランス軍がドイツ軍にあっけなく敗退した理由を「間に合うように作られたる1万の飛行機は戦後の5万台に勝る」と分析した一節を紹介し、危機への「備え」の重要性を強調した。
3年に1度の観艦式には、イージス艦「ちょうかい」など艦艇48隻、約7900人が参加した。10/29 (20:28) 日経新聞
やはり、安倍内閣の高い支持率は北朝鮮に対する外交姿勢が評価されたことが主な要因のようです。そして、過去長い間紆余曲折を続けてきた防衛庁の省昇格問題が今国会であっさりと審議、決定の運びとなったのも、ミサイル発射以来、制裁に関して消極姿勢を貫いていた民主党が支持率を大幅に下げ、国民の国防に対する意識の高まりに反抗できなくなったことが主な要因となっています。
そして今回、その安倍首相が艦艇式で「フランス敗れたり」の一節“「間に合うように作られたる1万の飛行機は戦後の5万台に勝る」”を引用してコメントを発表しました。
数々の植民地戦争を繰り広げて国民の関心を買い、国民的英雄であったナポレオン三世が鉄血宰相ビスマルクに率いる新興軍事国家プロシアに挑んで敗退した後、敗戦と共にフランスに誕生したのが、“第三共和制”と呼ばれる民主主義国家です。
当時の為政者も国民も敗戦の原因を戦前の圧制と看做し、良い風習も悪い風習も含めてすべて戦前を否定し、マスコミ、インテリ、労働者、学生のありとあらゆる階級がマルクス主義への憧れを持つという、極度の「平和至上主義」と化してしまいました。そして、第一次大戦後に誕生した、戦争回避のための国際機関である国際連盟に過度の期待をかけ、国際連盟さえあれば戦争がなくなるという幻想に取り付かれてしまったのです。
しかしそのような幻想は、ナチスドイツという脅威に呆気なく踏みにじられ、祖国を蹂躙され、わずか6週間という短い期間でフランスは崩壊してしまいました。
そして戦後フランスは、平和至上主義の弱点や社会主義の理想が結果的に外国の利益となったことを踏まえ、国民道徳をしっかりとさせ、国の統一を守り、外国の政治の影響から世論を守ることの大切さを知ることとなります。
このフランスの第一次大戦から第二次大戦にいたるまでの道は、第二次世界大戦の敗戦の中から生まれ、戦前を全否定することでスタートした日本と非常に似通ったところがあります。そしてそのことは、日本の国連に対する過度の期待にもよく現れています。そしてそこから脱出することこそが、安倍首相の掲げる「戦後レジーム」からの脱却なのです。
そして、今回、ナチスドイツに匹敵する無法国家、北朝鮮が登場したわけですが、まだ日本にとって幸運だったことは、それが日本が目覚めるためにはうってつけの手頃な敵だったということです。
7月6日のミサイル発射から、今回の10月9日に強行された核実験までの間に、日本国民は、実在する隣国の脅威と、核実験をとめられなかった国連の無力さを知り、それに相対して北朝鮮を必死でかばう中国や韓国への不信感を強めてきました。そして、国内のマルクス主義に毒された平和至上主義者や野党によって繰り返される無責任発言と、サヨクマスコミから垂れ流される媚中派の売国発言も相まって、国防に対する意識は過去にない高まりを見せています。
そのことは中韓の内政干渉やサヨクマスコミの執拗な偏向報道による圧力を撥ね退け、8月15日の靖国参拝を強行した小泉首相が世論の高い支持を得たことや、今回のミサイル発射直後に官房長官として対策にあたった安倍氏が首相に選ばれ、高い支持率を維持していることにつながっています。
安倍首相の“危機への「備え」の重要性を強調”とは単に北朝鮮を指すのではなく、その背後に控える中国を指しているものと思われます。戦後、“日中友好”という幻想に取り付かれた日本は、日本に対する明確な侵略の意図を持つこの国を、確たる戦略も無く闇雲に援助して軍事大国へと変貌させてしまいました。
この隣国の尖閣諸島に対するような剥き出しの領土的野心に対して、日本の戦後体制はあまりにも無力で、既存サヨク勢力はあまりにも中国に迎合的です。
庁が省に変わって何が変わるのかという意見もあるようですが、はっきり言って、内閣府担当という権限により、経費削減の名の下にODA削減と同等に、国際状況を無視して防衛費削減が論じられるような国は世界中を探しても日本だけしかありません。そしてそのことは防衛庁が庁という政府の外局という位置づけによって、文民統制という言葉に酔った平和至上主義者によっていかに軽んじられ、陥れられてきたのかを端的に現しています。
安倍首相の“防衛庁の省昇格法案の早期成立にも意欲”というのは、こういった危機感の表れであるといえます。日本は北朝鮮の核実験強行で感じた無力さを元に、フランスの失敗を教訓として、こういった戦後の矛盾を解消して「戦後レジーム」から脱却し、将来の危機に備えなければなりません。
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コメント
テレビタックルでの森ゆうこ民主議員[創価に踊らされてる不潔感漂う人]の発言で、「国民は政治に期待してない、政治家に清潔感を求めていない」というのが有りました。
嘘つき!
投稿: 神吉 | 2006年10月30日 (月) 10時44分
国会で週刊誌ネタで踊り、安部総理拉致食い物発言で、国会を侮辱せしめた、森ゆうこ民主議員と、イギリス情報局の協力で金正日のぱか息子金正男を赤坂で拘束したのに直ちに送り返した売国奴、田中まきこと同じ新潟。2人とも拉致被害者の事は同でもよいと思っている。新潟人の良識を次回の選挙に期待する。
投稿: 神吉 | 2006年10月30日 (月) 10時52分
安部人気のあるうちにスパイ防止法を成立させてほしいものですね!
投稿: d | 2006年10月30日 (月) 11時08分
スパイ防止法は共謀罪よりはるかに優先すべき法律ですね。
教育基本法、スパイ防止法、集団的自衛権の行使、憲法9条の見直し等、課題は山済みですね。
投稿: takayuu@管理人 | 2006年10月30日 (月) 22時17分