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2006年10月29日 (日)

尖閣諸島に確かな抑止力を

 尖閣諸島は、沖縄群島西南方の南シナ海に位置し、魚釣島、南小島、北小島、久場島、大正島からなる群島の総称であり、その位置は、魚釣島を基点に石垣島まで170km、沖縄本島まで410km、台湾まで170km、中国大陸までは330kmの距離があります。

 地図を見ればわかりますが、尖閣諸島は戦略的に重要な拠点であり、ここを取られれば、台湾-西表島-石垣島-宮古島-沖縄本島を結ぶシーレーンが全滅し、台湾が孤立してしまいます。日本の国防上の要所ですが、現在ここを守っているのは自衛隊ではなく海上保安庁であり、実質的に海上保安庁が国防を担当していることになります。

出典:海上保安レポート2005 尖閣諸島等の領海警備より

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 同諸島は、明治28年1月14日に正式にわが国の領土に編入され、明治29年ごろにはかつお節や海鳥の剥製等の製造が行われており、魚釣島には船着場や工場の後が今も残っています。

 戦後は、サンフランシスコ平和条約に基づき、尖閣諸島は南西諸島の一部として米国の施政権下に置かれ、昭和47年5月、沖縄復帰と共にわが国に返還され現在に至っています。同諸島の領有権は今も昔も明確に日本国に属しており、中国、台湾に領有権を主張される筋合いはなく、同国の間にいかなる領土問題も存在しません。

 しかし、昭和43年、日本、韓国及び台湾の海洋専門家が中心となり、国連アジア極東経済委員会の協力を得て東シナ海海底の学術調査を行った結果、東シナ海の大陸棚には豊富な石油資源が埋蔵されている可能性があることが指摘され、これが契機となって、あまり重要視されてなかった尖閣諸島に対する周辺国の注目度がUP。台湾が昭和46年4月に、中国も同年12月に公式に領有権を主張し始め、平成4年2月には、尖閣諸島を中国の領土であると明記した「中華人民共和国領海及び接続水域に関する法律」を施行しました。

 つまり、中国外務省のこのような発言は中国国内の明確な法律の根拠があるわけで、今に始まったことではありません。実に35年も前から尖閣諸島を狙っているわけです。

 この領有権を主張する動きは平成8年7月に国連海洋法条約が発効し、排他的経済水域が設定されたことに伴い、漁業活動への影響が生じたことや、北小島に政治団体が灯台を設置したことに反発し、台湾・香港等で「保釣活動」と呼ばれる活発化しました。このことは尖閣諸島周辺の領海に侵入するなどの大規模な領有権主張活動を引き起こすことになります。

 日本政府は平成14年4月に、このような高まる領有権主張活動を受けて、尖閣諸島を維持するため、魚釣島。南小島及び北小島を所有者から借り上げました。しかし、このことは中台を激しく反発させ、近年の反日教育も相まって中国において新たな活動団体が台頭し、全国規模で尖閣諸島の領有権活動を展開するに至ります。

 こうした背景の下、平成15年6月に中国本土から不法侵入する事件が発生し、同年10月に1件、平成16年にも2件発生。そのうち3月に発生した件に至っては、中国人活動家7名が警備の間隙を縫って魚釣島に不法上陸する事件に発展してしまいました。

 このような状況を受けて海上保安庁では、関係省庁と協力しながら、同島に対する警備をさらに強化し、平素から尖閣諸島周辺海域に常時巡視船艇を配備し、さらに定期的に航空機による哨戒を行っています。また、日本政府も、個人管理であった魚釣島の灯台の所有権を国庫帰属財産とし、平成17年2月、政府全体の判断として海上保安庁が航路標識法に基づく所管航路標識として「魚釣島灯台」の保守・管理を行うことを決定して海図に記載し、現在に至っています。

 つまり、尖閣諸島は実質海上保安庁が警備を担当し、その努力によって日本の影響力が行使された状態になっているのです。つまり、本来ならば防衛庁が担当すべき国防を海上保安庁が代行しているわけです。まずは日本の国防最前線を実質担当する海上保安庁に対して敬礼。

 現在、自衛隊の最西端基地は宮古島駐屯地であり、そこから台湾へいたる地域は全くの「力の空白地帯」となってしまっています。何故そんなことになってしまっているかといえば、日本の世界に名だたる平和憲法第9条と、戦後の自虐史観による軍事アレルギー、日中友好の名を借りた媚中議員の圧力による中共への無用な配慮や、省に昇格出来ない防衛庁等の問題があります。

 その中でも、省に昇格できない防衛庁に特に問題があります。

 防衛庁長官は例外として閣僚に迎えいれられているものの、組織自体は庁である限り行政機関の外局に位置づけられ、内閣府に属している一機関ということになります。企業で言えば子会社であり、予算、決算をはじめすべてにおいて内閣府の許可承認を必要とします。庁自体で勝手に決めることなど許されないのです。

 また、下部組織であるために予算折衝での概算要求や法案の提出をはじめ、予算の執行、幹部人事などに関して直接閣議に諮ることも出来ません。つまり、組織上から見れば防衛庁は海上保安庁と同等なのです。まぁ、よくこんな組織体制で今まで国土が保てましたね。海上保安庁の方々の努力に改めて敬礼を。

 今国会において、防衛庁が省に昇格することがほぼ決定しましたが、その背景には北朝鮮問題だけではなく、こういった緊張する東シナ海事情にも関係があると思われます。そして、東シナ海において、もう一つ忘れてはいけないことに、ガス田問題があります。

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 図を見るかぎり、この日中間の係争地であるガス田に一番近い日本の領土は尖閣諸島です。そして、日本主張の中間線と、中国側主張の沖縄トラフを見てもらえればわかると思いますが、もし、日本の主張どうりに影響力を行使しようと考えれば、尖閣諸島に日本がレーダーサイトとミサイル基地等の軍事施設を建設し、軍事力を持って影響力を行使するしか方法がありません。

 前職の経済産業省大臣は話し合いで解決云々とか言ってましたが、中国は国内法で尖閣諸島の領有を公式に宣言しているわけで、それを変えない限り、政府としての方針を変えてくるわけがありません。つまり、求めるべきは共同開発ではなくて、国内法の変更にあるわけで、それを要求しない二階元大臣ははじめから交渉する気がないってことです。

 本当に何故やらないのか不思議でたまりませんが、省に昇格した後はこういった日本の国防に関する矛盾点を徹底的に洗い出し、効率よく、そして最大の抑止力となるように自衛隊の再配置を考えていく必要があります。このことは国内サヨク勢力やサヨクマスコミ、媚中派議員のの基地外じみた抵抗に会うとは思いますが、一つ一つ障害を排除し、日本の未来のために是非やり遂げていただきたいものです。

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参考サイト

海上保安レポート2005 海上保安庁

中国の海洋進出 (財)DRC研究

防衛「省」昇格法案 しんぶん赤旗

*防衛庁を防衛省に昇格! 東京コレスポンス

民主党、防衛庁を省にする法案に対して「慎重審議」を主張 たむたむの自民党VS民主党

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コメント

尖閣諸島に抑止力をと仰っても、空自は与那国島に接近するだけで台湾空軍にスクランブルされて迎撃されます。
その辺の防空識別圏の回復も併せて話が進んでもらいたいですね。

投稿: minase | 2006年10月29日 (日) 23時22分

日の巡視船、尖角列島で香港の船を追い出す 
http://blog.goo.ne.jp/bonadrag

海上保安庁「突き飛ばして」グッジョブですが荷が重いでしょうね。早く防衛省となり自衛隊が軍隊として任務を遂行してほしいですね。
人民日報によると「 釣魚島(日本名・尖閣諸島魚釣島)とその付近の島嶼は古来、中国の固有領土であり、中国側に争う余地のない歴史的・法律的根拠がある」そうで「日本側は多くの戦艦と飛行機を動員し、関連海域で船体の衝突や高圧水銃の噴射など強硬措置をとり、中国側の人員に傷を負わせ、船舶も破損を受けた。」とのことです。www
http://www.people.ne.jp/2006/10/28/jp20061028_64371.html

投稿: mimi | 2006年10月30日 (月) 06時06分

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