安倍首相の本気度
「拉致問題対策本部」が設置されたようです。
政府は29日午前の閣議で、北朝鮮による日本人拉致問題の解決や被害者の家族の支援などに総合的に取り組む「拉致問題対策本部」の設置を決定した。安倍晋三首相が本部長に就き全閣僚が参加する常設機関とし、手詰まり状態にある拉致問題の解決に向け、新政権の強い姿勢を示すねらいがある。近く初会合を開く。
対策本部の副本部長には、拉致問題担当相を兼務する塩崎恭久官房長官、事務局長には被害者の家族からの信頼が厚い中山恭子首相補佐官が就いた。首相官邸の情報の収集・分析能力を強化し、国際的な圧力強化策などを戦略的に決定する。内閣官房の拉致問題連絡・調整室のスタッフを増員したうえで対策本部事務局に衣替えする方針。ただ「二元外交」を避けるため、外交交渉は外務省が引き続き担う。
首相は閣議で「すべての拉致被害者の生還を実現すべく対策本部で政府一体となった取り組みを推進する」と述べた。
塩崎長官は同日夕、拉致被害者家族会(横田滋会長)らのメンバーを首相官邸に迎え、こうした拉致問題解決に向けた安倍政権の方針を説明する予定。
(09/29 11:50) 産経新聞
安倍首相は以前より拉致事件への関心が高く、7月には官房長官として麻生外務大臣とともに北朝鮮のミサイル発射に対して毅然とした態度を見せ、安保理決議における中国の譲歩を引き出し、制裁決議を勝ち取りました。
そういった経緯から見て、安倍政権最大の課題は、北朝鮮拉致事件の解決なのかもしれません。その決意は、今回の「拉致問題対策本部」の本部長に自らが就任し、キルギス日本人誘拐事件、拉致被害者5人奪還の功労者である中山恭子氏を事務局長に据えた人事を見ても明らかです。
そんな中、10月上旬に日韓首脳会談が行われるようです。
日韓両政府は、安倍首相が10月中に訪韓し、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と会談することを検討している。
日韓外交筋が29日、明らかにした。日韓首脳会談が実現すれば、昨年11月以来となる。
首相と大統領は28日に電話会談した際、早期の首脳会談を実現する考えで一致した。これを受けて、両政府間で、11月にベトナムで開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議の機会を待たずに、首脳会談を実施する方向で調整に入っているものだ。
日韓関係は、小泉前首相の靖国参拝問題などをきっかけに冷え込んでいる。安倍首相も靖国参拝の意向をにじませているものの、政治問題化を避けるため、「参拝したかどうかは言及しない」などと説明している。韓国政府側もこうした首相の配慮を評価し、日韓関係の改善に着手すべきだと判断したものと見られる。
(2006年9月29日14時31分 読売新聞)
またお決まりの“日韓関係は、小泉前首相の靖国参拝問題などをきっかけに冷え込んでいる”というフレーズが飛び出しましたが、国家間の関係は問題があれば冷え込むのは当たり前。それを理由に会談拒否をするのは異常です。耳を澄ませば軍靴の足音が聞こえてくるようです。
今回、韓国が11月のAPECを待たずに日韓首脳会談を打診してきたのは、自らの反米親北路線が招いた韓米関係の冷え込みが関係しています。
韓国は、現在、北朝鮮を6ヶ国協議に復帰させる為に、日米韓にロシアと中国を加えた「包括的アプローチ」を主導し、準備しています。内容は何のことは無く、重油、米、肥料などの支援と引き換えに北朝鮮に6ヶ国協議復帰を促すという、太陽政策の延長みたいなものですが、北朝鮮の強硬姿勢の前に当然のことながら難航しています。
一方、米国は統帥権をめぐって冷え込んだ米韓関係も手伝い、今まで1年間続けてきた会談復帰努力にも限界が来たとして、11月7日を期限とした残り6週間の「デッドライン」を設け、それ以後は強硬措置も辞さないとして、北朝鮮に対する圧力を強めています。
それ以外にも、北朝鮮に対しては開城工業団地を人質に口座開設をせがまれ、頼みの中国にも歴史紛争を仕掛けられ、離於島海域や白頭山周辺の実効支配を強められつつあり、ロシアに至ってはまったく頼りになりません。そして、今までいろいろと面倒を見てくれた日本に対しては、自らが仕掛けた宗教戦争で首脳会談すら開けない状態にあります。日本は“いつでもウェルカム”であるにもかかわらずです。
つまり、米・中・ロ・北すべてと関係が冷え込みつつある韓国としては、この外交上の手詰まりを打開する為、“靖国参拝問題”という“名”を捨て、“日韓首脳会談”という“実”を取ったわけです。そして、6週間という「デッドライン」発動前にどうしても会う必要があった。
おそらく、韓国は日本に対して、恩着せがましく「包括的アプローチ」への協力を要請し、北朝鮮の6ヵ国協議復帰の見返りとして、日本に巨額援助を要求してくるはずです。もちろん日本側としては、そんな要求が呑めるはずは無く、逆に韓国に対して金融制裁への参加を要請することになるでしょう。
おそらく、主張は平行線をたどると思われますが、その交渉の成否については安倍首相が自らが提唱する「主張する外交」が展開できるかどうかが鍵となるでしょう。
単なる挨拶で終わるのは論外、一方的に金融制裁への参加を約束させたら奇跡です。「包括的アプローチ」にある程度の協力はする代わりに明確な期限を設け、失敗した場合に金融制裁への参加を約束させれば上出来。一方的に「包括的アプローチ」への参加を約束させられ、北朝鮮に対して巨額の援助を拠出し、金融制裁への参加については拒否された場合は下の下策。お話になりません。
今回の日韓首脳会談では、何よりも安倍首相の拉致問題に関する本気度が試されます。そしてそのことは今後の安倍政権を占う試金石となるでしょう。
制度だけ作って後は腰砕けとならないよう、よろしくお願い致します。「凛とした国」を期待しております。
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参考記事
難航する韓国の対北「包括的アプローチ」 朝鮮日報
米国、北朝鮮に「最後通牒」 朝鮮日報
白頭山で一体何が…?「中国化作業」進行中 朝鮮日報
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